序章


 

 後悔はない。
 後からいくらでも罰すればいい。
 喜んで受け入れよう。
 女は望んだ。願っていた。
 自由を。
 そしてそれを手にする。
 そのためだけに学んで得たものだ。この知識と力は。
 後ろを振り返り誰もいない闇に微笑む。
 その桜色の唇が綺麗な弧を描き、動く。
 
 ―――さようなら。
 
 それが、女がそこに残した最後の言葉だった。
 
 

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